こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。
今回は、私たちが2009年から村落開発支援プロジェクトを実施している村のひとつ、プレア・プット村での活動をご紹介します。
プレア・プット村は2つのコミュニティに分かれているのですが、この記事でご紹介するのは2014年に新たに編入された、24世帯が暮らす山の麓にある小さなコミュニティです。
なぜ?
以前の記事でも書きましたが、私たちの活動地であるカンボジア北西部バッタンバン州は、戦闘の影響を受けて多くの地雷が埋設された地域です。
中でもプレア・プット村は「地雷ベルト」の中に位置し、この村だけで6,000個以上の地雷が撤去されています。
このような地雷原は、地雷撤去がなされる前であっても危険を承知の上で、土地を求めて移住した貧困層の家族が多く暮らし、地雷撤去後も十分な農地を持たないために厳しい生活を強いられています。
プレア・プット村(小)にも、1987年に最初の家族が移住してきました。現在、この地域に住んでいる24家族も自らの土地を所有せず、村人の多くは1日5ドルの日雇い労働かタイへの出稼ぎが主な収入源となっています。
また、この地域は編入以前のプレア・プット村にある小学校から離れており、道も悪いために子どもたちは小学校へ通うことができていませんでした。
そこで、2015年10月に学校としての小さな建物を建設しました。同年、11月1日から授業を実施しており、現在は33人の子ども達に対して、幼稚園と小学校低学年の授業ができるようになっています。
プレア・プット村(小)に建設した幼稚園 photo by Yuki Nobuoka
小学校に通えない?
1番小さい子は3歳で、1番大きい子だと13歳です。
小学校に通っていてもおかしくない年齢なのですが、通えていないのにはアクセスが悪いこと以外にも理由があります。
子どもとはいえ、カンボジアでは小学校高学年にもなると、立派な労働力としてみなされます。これは児童労働にも当てはまります。
体が大きくなると畑仕事もできるために、親と一緒に日雇い労働に出て行って家計を助ける子どもが多く、小学校をきちんと卒業できる子どもは、まだ10%にも満たないのです。
また、幼稚園に通うぐらいの年齢の小さな子どもを家に置いて仕事に行くのが心配な親は、子どもを連れて仕事場に行ってしまいます。
これは、子ども達が教育の機会を失っていることを意味します。
カンボジアの教育制度は、日本と同じ6・3・3制の義務教育です。多くの学校では7時〜11時、13時〜17時の二部交代制となっています。
朝の早いカンボジアですが、プレア・プット村(小)でも7時過ぎから幼稚園の授業が始まります。9時になると幼稚園の子ども達と小学校低学年の子ども達が入れ替わり、11時まで授業があります。
一般的な学校教育が1日4時間なのに比べて、この地域の授業は1日2時間です。1週間単位、1ヶ月単位、1年単位で見ていくと、学習時間の差は圧倒的です。
給食、始めます
このような状況を踏まえて、幼稚園/小学校で朝食と昼食を提供することになりました。
幼稚園/小学校の裏に建設されたキッチン photo by Yuki Nobuoka
私も椅子や机を運びました
これまでに家庭の状況によって足りていなかった授業時間を、午後の時間も使って勉強することができるようになります。今週の金曜日から食事が提供されるようになったら、午前・午後の計8時間の授業を、先生もやる気満々です。
給食の調理は村人にお願いし、野菜はプロジェクトで推進している家庭菜園によって村人が作ったものを購入する予定です。
給食調理員のキーさん、クーンさんも「朝の4時に起きて準備をしないと!」と、やる気満々です。キッチン用具が盗まれないようにと、布団を持ち込んで寝泊まりするぐらいです。
給食調理員の2人 photo by Yuki Nobuoka
整理整頓されたキッチン用具 photo by Yuki Nobuoka
元地雷原で暮らす子ども達にも、看護師や学校の先生、エンジニアなどの夢があります。
生まれた場所が違うからという理由で、子ども達は夢を諦めなけらばならないのでしょうか。
この地域の子ども達が大きく羽ばたけるように、問題の根本的な解決に向けて活動を続けていきます。
幼稚園の授業風景 photo by Yuki Nobuoka