新卒NGO職員がゆく。|延岡由規のブログ

気にしていたいのはいつだって、世間よりも「世界」だ

「国際協力」って特殊な仕事?

 

こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

 

皆さんは、「国際協力」という言葉を聞いて、どのようなイメージを持たれますか?

 

 

最近、私が読み始めた書籍『地域をつなぐ国際協力 (創成社新書)』の中では、以下のように書かれています。

一般に国際協力などというと、それは特殊な社会現象であり、その仕組みは複雑であり、さらに現場が海外にあるために一般市民にとって理解が困難なものとも考えられている。(22ページ)

地域をつなぐ国際協力 (創成社新書)

地域をつなぐ国際協力 (創成社新書)

 

 

 

いかがでしょう?

 

「国際協力」や「NPO」「NGO」といった言葉も、以前に比べると一般市民の方々にとって、かなり近い存在になったと思います。

「国際協力」を行う学生団体や市民団体も増えて、書籍やテレビ番組の特集なんかも含め、様々なチャンネルから「国際協力」にまつわる情報に触れることのできる時代です。

 

そこで私が問いたいこと。

 

果たして「国際協力」とは、特殊なものでしょうか?

 

 

半分そう

 

というのは私がこの道を選んだ決定的な理由のひとつでもあります。

国際協力の仕事って、ひと言で表すと「世界を変える」ことだと思っています。

その前提には、変えなければならない世界の現状があるわけです。環境破壊や貧困、紛争など、挙げだすときりがないほどこの世界には問題が山積みになっています。そして、グローバル化した現代社会においてそれらの問題と無関係に生きていくことは不可能です。

いわゆる「開発途上国」で起こっている問題に、日本をはじめとする「先進国」に住む人々が加担していないと言い切ることはできない世の中になっています。

しかし、悲観することはありません。認定NPO法人テラ・ルネッサンス創設者の鬼丸はよく、このように言います。

 

「世界で起こっている問題はすべて、私たち人間がつくり出した問題

 それらを解決できる力も、私たち人間が持っている」

 

利潤の拡大や、社会をより便利で快適にするのではなく、「世界で起こっている問題を解決すること」それ自体が目的となっている点において、この仕事は他とは少し違っていると言えるでしょう。

 

 

半分そうじゃない

「国際協力」を仕事としている人が、毎日どのような作業をしているか想像したことはありますか?

 

アフリカの子どもを抱えて素敵な笑顔を浮かべている写真を見たことや、NGO/NPO職員が自身・自団体の活動を語る講演会に参加したことがある方は、このように感じているかもしれません。

 

なんてキラキラした仕事なんだ!と。

 

 

もちろん、その部分はあります。

特に、海外の事業現場で働く身としては、プロジェクトの対象者に直接会って話すことができますし、一緒に写真を撮ることもできます。

彼ら彼女らの笑顔に直に触れること、変化を直に感じられることは私のような者の特権です。

 

 

しかし、それだけやっているわけではないんです。

 

同世代で国際協力NGOの海外駐在をしている田才さんは、以前こんなブログを書いていました。 

www.ryoyatasai.com

 

そう、バックオフィスの作業も膨大にあるのです。これは(組織によって体制が異なるので、一概には言えませんが)海外の現地駐在員にも当てはまります。

 

例えば、2017年度の第一四半期を終えて、私も今週は集中して会計作業に当たっていました。データを会計表に入力したり、ひたすらレシートのスキャンをとったり。。
(ブログを更新していなかった言い訳です)

 

例えば、プロジェクトを管理するために、PCM(Project Cycle Management)手法と呼ばれるものを用いているのですが、これらのツールとにらめっこしたり。

グローバル人材に贈るプロジェクトマネジメント

グローバル人材に贈るプロジェクトマネジメント

 

 

国内においては、組織体制を整えるために奔走する職員、ファンドレイジングのために数字を追いかける職員もいます。

 

現場でプロジェクトを動かしていく、あるいは組織として動いていく上では、とにかく、バックオフィス面での膨大な作業から(少なくとも、現状は)逃れることはできません。

 

村の人たちと話をする

子ども達と写真を撮る

人前で講演をする

 

これらは仕事の一部であって、すべてではないんです。

よく言われるように、強い光には必ず強い影があるんです。影といってもネガティヴな意味ではなく、人の目に触れることのない地道な作業もあるということです。

営業のためにひたすら電話をかけたり、会議の資料をまとめたり、いわゆる一般企業においてもこのような作業は発生しているはずです。

 

光があれば、影もある。

これはどの仕事にも当てはまるのではないでしょうか?

 

 

全部ひっくるめて「国際協力」

でも、そのような地道な作業もすべて含めて、私はこの仕事が好きなんです。

なぜなら、それらひとつひとつの作業が、新たな笑顔をつくることに繋がっていると知っているから。

国内、海外問わず、一人ひとりの小さな積み重ねが、世界を平和に導いていくことを確信しているからです。

プレア・プット村の子ども達 photo by Yuki Nobuoka

 

結論、「国際協力」は特殊な部分もあるかもしれないが、他の仕事とさほど変わらない部分もたくさんある、ということです。

将来的に「国際協力」に携わりたい方は、事前にこのことも知っておくと良いかと思います。