ブログのタイトル通り「新卒NGO職員」と名乗っているわけですから、わたしは大学卒業と同時に今の国際協力NGOに就職したということです。
一見、特異なキャリアのように思われるかもしれません。実際、JICAの青年海外協力隊の方や、自分で団体を立ち上げた方を除いては、新卒で国際協力に本格的に携わり、かつ、海外の支援現場に駐在員として派遣されている人はほとんど出会ったことがありません。
もしそのような方がお知り合いの中にいらっしゃれば、同じ志を持つ「仲間」として繋がりを持ちたいので、ぜひ教えていただきたいです!
さて、友人であり、大学生ながら国際協力NGOコンフロントワールドを立ち上げた原貫太さんはご自身のブログにてNGO就職への最短ルートを以下の2つ、ご紹介されています。
①学生時代にNGOでインターン→卒業後にそのNGOに就職
②NGOでインターン→新卒で青年海外協力隊→帰国後に就職
上記に照らし合わせると、わたしは完璧に①のパターンに一致します。
認定NPO法人テラ・ルネッサンスでインターンシップを開始したのが2014年9月です。
そこからおよそ2年半、主に本部である京都事務局にて活動をしていました。
2017年4月に入職し、カンボジアに駐在して支援現場に立つようになってから、改めて国内でのインターン業務に携わっていて良かったなあと思うことが多々あります。
わたしとしては、NPO/NGOで働きたいと考えている方、将来的に国際協力NGOの海外駐在員を目指している方は、まずは日本国内(本部)でのインターンシップを始めることを強く勧めます。
NPO/NGOでインターンシップをするメリット/デメリット
国際協力に限らず、一般的なNPO/NGOでのインターンシップに関するメリット/デメリットは以下のような感じでしょうか。
<メリット>
・裁量が大きく、責任のある仕事を担うことができる
・非営利/非政府組織としての運営体制を学ぶことができる
・同じような志を持つ仲間と出会うことができる
<デメリット>
・正規専従職員の数が少なく、インターンシップとはいえ激務である
・教育体制が整っておらず、きちんとした研修がない
・金銭的な報酬が少ない/無い
などなど。
他にもたくさんありますが、とりあえずぱっと思いついたものを書いてみました。
現場に行く前に国内でインターンシップをするメリット
わたしが感じている、特に国際協力NGOの海外駐在員が現場に派遣される前に国内業務に携わる4つのメリットに絞ってご紹介します。
1. 組織としての大きな流れを掴める
有している能力や経験はもちろんですが、NPO/NGOに就職するにあたってそれ以上に大切なことがあります。
それは、団体のヴィジョンやミッションに心の底から共感できるか。
ビジネスセクターを含め、多くの組織はそれらを明文化してホームページ等に載せています。しかしながら、次のような情報を掲載しているものはほとんど見たことがありません。
・そのヴィジョンがどのようにして策定されたのか
・ヴィジョン達成に向けて具体的にどのようなアプローチをとっていくのか
あるいは、複数の事業を抱えている組織の場合、各事業が立ち上がった(人間関係や金銭面など、普段はオープンにされにくい)深い部分の背景など。
これらは内部で活動を共にするスタッフには確実に共有されるべきものです。しかし、ホームページやSNSを通して対象とする一般の方々にはあまり必要のないことが多く、内部スタッフもなかなか情報にアクセスしづらいのです。
そんな時に頼りになるのが古株の職員です。国内事務局で同じ時間を過ごすことで、先輩方から団体の歴史を詳細に聞くことができるのは、本部事務局でインターンシップをする大きな利点です。
組織としての歴史、そして未来という大きな時間軸の流れの中から、今目の前にあるプロジェクトの意義や立ち位置を考えられるというのは、非常に重要です。
2. 「国内側が海外の現場に何を求めているか」という視点を養える
同業の大先輩である門田さん(エイズ孤児支援NGO PLAS 代表理事)から以前、わたしのInstagramの写真について有り難いお言葉をいただきました。
インスタの写真どれも素敵ですね!こういうビジュアル、写真での発信力、コンテンツ力のあるNGO駐在員はほとんどいないですよね。素敵です。
— もんだるいこ🌍NGO・PLAS代表(門田瑠衣子) (@Rui_Plas) 2018年1月8日
駐在員が個人で発信して、良い反応のものを日本事務局が後方に活用していくとか、最短で報告を作っていけるよいルートだと思います。 https://t.co/I9vpUgynCE
また(恐縮ながら)同世代で国際協力の最前線でご活躍されている田才さんもこのようにおっしゃっています。
広報やファンドレイジング、コンテンツの見せ方を知っている人が駐在員になることで、日本事務局側の業務負荷(指示出し・構図の指定など)も減り、結果的に組織の円滑な運営につながると強く思います。
— 田才諒哉@イギリス留学中🇬🇧 (@ryoryoryoooooya) 2018年1月8日
駐在員が現場のリアルを切り取り、日本の広報担当がそれを編集するというのがベストかなと。 https://t.co/V9asGOegel
わたしがどれだけ国内の広報/ファンドレイジングに貢献できているかは、ここでは置いておきましょう。
これだけ「現場のリアルを発信すること」に力を入れているのは、わたし自身が国内の事務局で主にPR(パブリック・リレーションズ)業務に携わってきたからです。
いかに現場の写真や動画、情報が大切かを身に染みて学んだからこそ、カンボジアに駐在している今、少しでもテラ・ルネッサンスのブランディングや仲間づくりに貢献したいと強く思います。
また、インターン生として活動している期間に、PR業務を統括する職員とかなり深い議論を重ねてきたからこそ、コンテンツに対する感覚が養われたのも事実です。
3. 支えてくださる方々の「想い」に直に触れられる
1つの組織が運営されるには、内部、外部問わず、たくさんの方々の想いが欠かせません。日本に本部を置くNPO/NGOだと、支えてくださる方のほとんどが日本に住んでいらっしゃるでしょう。
また、海外の支援現場で1つのプロジェクトを回すのも同様です。その裏には日本事務局での細かい作業(資金調達、啓発、会計、労務、総務)が数え切れないほど積み重ねられて、やっと事業を運営することができます。
このことを実感しないまま、いきなり海外の支援現場に立つことは、ある種危険な行為です。
日本にいる一人ひとりの想いを「無駄遣い」し兼ねません。
逆に、わたしはインターン生時代に様々な場で、内外問わず、多くの関係者の方々と直接お会いし、想いを共有させていただきました。
その経験は今の活動を支えてくれるモチベーションの1つにもなっています。
4. 「当たり前の質」が上がる
先日、京都事務局でインターンシップをがんばってくれている仲間とLINEのやり取りをしていました。これが今回の記事を書くきっかけになったので、一部ご紹介致します。
<わ:わたし、イ:インターン生>
わ:インターンありがとうね!(←この日、彼女はインターン出勤日でした)
イ:インターンありがとうと言って頂き、ありがとうございます😊
わ:今日も安心して仕事ができるのも、日本のみなさんのおかげやからね〜〜(^^)
イ:すごいですね。だれかに対して、『あなたのおかげで安心して仕事ができる』なんて24歳で言える人なかなかいないと思います。言われた側はとても嬉しいです。明日も頑張れます!
わ:すごいのか?これが当たり前やと思ってたけども。
イ:ただ『仕事ができる』じゃなくて『安心して仕事ができる』と言っているところがすこいです。なかなかサラっと言える人いないと思いました!
わ:テラルネでたくさんの人に関わらせていただいてるおかげですよ(^^)
日本で想いを寄せてくださる方々のおかげで、今日も安心して仕事に取り組める。
これはわたしにとっては当たり前のことです。しかし、彼女からしたら「すごい」という言葉が出る対象のようです。
また、以前、わたしにとってはすでに当たり前になっている考えをツイートしたところ、じわじわと反響がありました。
「アフリカ人」や「黒人」なんて勝手につけられた、ただの呼び方でしかない。
— 延岡 由規 Yuki Nobuoka (@yuki_nobuoka) 2018年1月12日
言うまでもなく、一人ひとりに名前があって、顔があって、個性があって、人生がある。
「世界中に友達をつくる」って、すごく幼稚できれい事に聞こえるかもしれない。
でも、世界を平和にする簡単な方法なんだろうな。
わたしがインターンシップを開始する前は、こんなことは言えなかったでしょう。
あるいは、国内事務局でインターン業務に従事せずに、ダイレクトに海外の現場に来てしまっていたら、このような言葉は出なかったかもしれません。
「質の高い」人たちが集まる環境に飛び込むと、自分自身の「当たり前の質」が自然と引き上げられるようです。
これは海外事務所でもじゅうぶんに起こり得ることですが、同じ日本語を母語とする仲間と働く方が、そのスピードは速いでしょう。
まとめ
いろんな事情があるかと思います。
しかし、国内ベースの国際協力NGOの海外駐在員が、日本事務局での(インターンシップ)業務に関わらずにいきなり海外の支援現場に立つことは、あらゆる面でリスクの高い行動です。
逆に、ここのステップをきちんと踏めば、駐在生活開始時点から良いスタートをきることができます。
将来的に国際協力NGOで海外駐在員として活躍されたい方こそ、まずは日本国内(本部)でのインターンシップを始めることを強く勧めます。