こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。
今週の金曜日には、カンボジア事務所で共に働くカンボジア人スタッフを主な対象に、がっつりと時間をとって研修を行いました。
日本に拠点があり、海外にも事務所を置いているNGO/一般企業でもそうなりがちかもしれませんが、現地人スタッフと日本人スタッフの視点にギャップを感じることは少なくありません。
これは私が学生時代にウガンダ事務所に滞在していた時にも感じたことですが、現場にいると一番近くに存在するのは「現場事業」であって、いわゆる「受益者」です。
もちろん、それはそれで間違いはないのですが、視野が目の前のことのみに狭まってしまい、現場事業を遂行すること、現場事業の成果を上げること自体が活動の目的になってしまいがちです。
例えば、私が2年前にインターンをしていたウガンダ事務所では、元子ども兵社会復帰支援プロジェクトを実施しています。そのウガンダ事務所は、2011年からウガンダ人スタッフが主体となって運営をしているのです。
私がインターン生として駐在していた期間も、常駐の日本人スタッフはおらず、基本的にはウガンダ人スタッフらが意思決定をし、現場事業を管理していました。
ある日、スタッフらと話をしていると、テラ・ルネッサンスという組織自体の話題になり、私は質問をしてみました。
「ウガンダ事務所以外ではどんな事業をしているか、知っていますか?」
すると、こう返ってきたのです。
「ウガンダ事業と同じじゃないの?」
他の国、事務所でもウガンダ同様のプロジェクトを行なっていると思い込んでいたようです。
また、私たちは「世界平和の実現」というヴィジョンのもとに事業を行なっているのですが、よくよく話をしてみるとウガンダ事業の目標達成=ヴィジョン達成だと捉えているようでした。
この時、視点のレベルに大きなギャップを感じ、違和感を覚えた私は、ウガンダ事務所スタッフにもう一度、テラ・ルネッサンスという団体についてプレゼンをし「足並みをそろえる」作業を行いました。
本部があって、支部があるような組織ならおそらく、このような話は往往にしてあることと思います。
最終目的の共通認識が明確になっておらず、「手段」が「目的」になってしまっている状態。
これを解決するための効果的な方法のひとつに、「繰り返し丁寧に、対話を重ねていくこと」があるかと思います。
この4月から新しいスタッフも入り、カンボジア人スタッフが8人、カウンターパートのスタッフも入れると10人と、カンボジア事務所も人数が増えてきたこともあり、一度時間をとって話をすることになりました。
アジア事業マネージャーの江角より、ヴィジョンやミッション、私たちテラ・ルネッサンスで働く者として大事にすることなどを改めて伝えます。
そして、私からはカンボジア事業以外の事業紹介。
それぞれのプロジェクトは、それぞれの目的を持って展開しているが、最終的には共通のヴィジョンにたどり着くための活動であること。
「自立と自治」「レジリエンス」「オーダメイド型の支援」など、現場支援において大切にしている考え方。
「ひとり一人に未来をつくる力がある」ということ。
そして、私たちがやるべきことは、対象者に内在しているその力が発揮される環境整備であること。
などなど。
時間が限られていたために簡単にしか説明できなかったのが心残りですが。
その後は、カンボジア事務所で大活躍中のインターン生から、「自立と自治」を促進するプロジェクト実施に必要な、村人たちとのコミュニケーション法について、研修をしてもらいました。
ベースになっているのは、この本の「メタファシリテーション」という手法です。

途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法
- 作者: 和田信明,中田豊一
- 出版社/メーカー: みずのわ出版
- 発売日: 2010/11
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ワークショップ形式で何かを学ぶ機会が、これまでそう多くなかったカンボジア人スタッフたちに、日本語でもなかなか説明するのが難しい内容を、最後までやり切ってくれたことに感謝です。
今回の研修内容を、1回きりで、各人がすべてを理解できるとは思っていません。
大事なのは「繰り返し丁寧に、対話を重ねる」こと。
そして、私も含め全スタッフが、あらゆる物事に対して視座を自由に上下しながら思考ができるようになっていきたいです。
より良い事務所で、より良いプロジェクトを推進していくためにも、組織内外の対話をこれからも大切にしていきたいものです。