すごい本に出会いました。
最近読んだ本の中でも、ボリューム、内容ともにかなり読み応えがありました。
休日の調整で先週末から連休をいただいていましたが、そのほとんどを費やしてしまうほどでした。。
でも、確実にそれだけの価値はあります!
2018年 読んでよかった本ベスト5入りが早くも確定しました。
・企業/組織のなかでマネージャークラスの立場にいる方
・企業/組織のトップにいる方
・今の職場にモヤモヤを抱えている方
・チームを引っ張る立場にいる方
・将来的に起業を視野に入れいている方
必読です!
それは、1月24日に発売開始となったこちら。
『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』
カンボジアにいても、新刊を購入して読むことができるなんて、ほんと恵まれた時代に海外駐在をしているなあと思いつつ。
概要
次の組織モデルは、これだ。
上下関係も、売上目標も、予算もない! ?
従来のアプローチの限界を突破し、圧倒的な成果をあげる組織が世界中で現れている。
膨大な事例研究から導かれた新たな経営手法の秘密とは。原書発売後またたくまに世界中に広がり、12カ国語・20万部を超えるベストセラーに。
新しい時代の経営論として支持を集める待望の一冊、ついに日本上陸。(amazon.com『商品紹介』より抜粋)
この時点でワクワクする方は、今すぐ読みましょう。笑
本書では、組織モデルのパラダイムを人類の歴史と発達心理学の側面から考察しています。
そして、それぞれの発達段階と組織モデルに名前と色を付けて区別がなされています。タイトルにもなっている「ティール」も緑っぽい青色を意味する英語です。
「進化型組織」にティールという色を付けて、
じゃあティール(進化型)のモデルに近づくためには?
実際にティール(進化型)パラダイムで運営されている組織は?
など、多くの実例、実践するためのアドバイスを交えながら紹介されています。
ティール(進化型)組織とは
次の図は、とてもわかりやすく概要を示しています。
(引用:日本語版付録「本書における人類のパラダイムと組織の発達段階」)
まず、現代におけるビジネス界・政界のリーダーの大半は「オレンジ(達成型)」の世界観を有していると指摘します。
達成型パラダイムにおいては「組織=機械」として見なされ、「予測と統制」によるマネジメントがなされます。
目標を達成することに重きを置いて、人間関係は軽視される傾向にあります。
次にある、自社を「家族」だと見なす「グリーン(多元型)」パラダイムのさらに先にあるのが「ティール(進化型)」です。
ティール(進化型)の段階まで来ると、それ以前の価値観は一掃されます。
・スタッフ機能は最小化される
・ミーティングの回数も最小化される
・意思決定権は1人ひとりにある
・組織図は不要である
・職務記述書も不要である
・なんなら、肩書きも不要である
本書には他にも記載がありますが、これらが次世代型組織の特徴です。
なぜ、そんなことが可能なのか?
答えは簡単です。
トップが、あるいはメンバー1人ひとりがお互いの「信頼」に基づいて働いているから。
「ティール(進化型)」パラダイムでは、組織は「生命体」「生物」として捉えられています。
今、あなたが所属している組織と比較してみて、いかがでしょうか?
ティール(進化型)組織による3つのブレイクスルー
著者は、ティール組織の事例研究を通して、以下の3つの突破口を指摘します。
1. セルフ・マネジメント(自主経営)
大きな組織であっても小さな組織であっても、構造的階層や関係者のコンセンサスに頼らずに、仲間との関係性のなかで動くシステムを構築する。
2. ホールネス(全体性)
1人ひとりの精神的なホールネスが改めて呼び起こされる。そして、ありのままの自分をさらけ出して職場に来よう、という気にさせる。
かつての「職場」は、本当の自分は家庭に置いてきて、「仮面」をまとって働くことを期待される場所であった。そこでは、合理性こそがすべてであり、情緒的・直感的・精神的な部分は排除される。
3. 存在目的
組織自身の生命と方向感を持っていると考えられている。戦略や予算を決める際には、組織が将来どうなりたいのか、どのような目的を達成したいのか、に耳を傾ける。
そして、これらを実際の組織運営に採り入れている企業に関するエピソードが数多く紹介されています。特に、各組織のCEOによるコメントは、著者の解説と同じぐらい響きます。
「職場」とは?
上述の「ホールネス(全体性)」に関してもう少し。
なぜ、ティール(進化型)組織の「職場」において、個人のそれ(情緒的・直感的・精神的な部分)を取り戻す必要があるのでしょう?
歴史を振り返ると、組織とは常に、ほとんど文字通りの意味でも比喩的な意味でも、人々が「仮面」をつける場所だった。
大部分の組織、あるいは機関は、その言葉の本当の意味において、「魂の抜けた場所」である。私たちの深い自己にとっても、魂の密かな願いにも安住できる場所ではない。
著者は、その大きな阻害要因を「恐れ」だと指摘します。
組織が暗黙の恐れに立脚しているのではなく、信頼と責任を育てる構造と慣行の上に成り立っていると、驚くほど素晴らしい、予想もしないことが起こりはじめる。
これを今、実際に自分が働いている職場に当てはめて、考えてみてください。
毎日「仮面」を被って「職場」に向かっている自分は居ませんか?
それが心地よいという人もいるでしょう。
しかし、わたしの場合は「すべての生命が安心して生活できる社会の実現」を目指す組織で働いています。
メンバー1人ひとりの「魂が安心できる」場としての「職場」をつくることは必要不可欠なのです。
まとめ
個人的にぐさっと刺さる部分です。
権力をトップに集め、同じ組織に働く仲間を権力者とそれ以外に分けるような組織は、問題を抱えて病んでいく。組織内の権力は、戦って勝ち取る価値のある希少なものと見られている。人はこうした状況に置かれると、いつも人間性の影の部分が浮き彫りになってくる。個人的な野望、政治的駆け引き、不信、恐れ、ねたみといった感情だ。組織の最下層では「あきらめ」と「怒り」の感情が広がりやすくなる。
今の自分はまさに危うい環境にあります。
「開発途上国」で働かれている日本人の方々は、特に気をつける必要がありそうです。
同じ組織のメンバーとはいえ、現地人スタッフたちからすると日本人というだけで「権力を持っている、いわゆるトップ層の人間だ」と、どうしても思われてしまいかねません。
本書を読んでいただくとお分かりになるのですが、権力がトップに集中するということは、トップの人間が社員に「信頼」を寄せていないことを意味します。
そんな「トップ」なんかには、絶対になりたくない。
遅かれ早かれ、自分のチーム、あるいは組織を持つことになるでしょう。
そのとき、「恐れ」に駆られて、「予測と統制」に基づいた組織運営を目指すのか。
あるいは、「信頼」を寄せ合い、自らの「存在目的」を基準とした「感覚と反応」に基づく運営を目指すのか。
自分の心の声に耳を澄まして、あなたの「存在目的」を拾い上げましょう。