こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。
私は学生時代に1年間の休学をし、ウガンダ共和国やブルンジ共和国、カンボジア王国、ラオス人民民主共和国などに派遣していただき、認定NPO法人テラ・ルネッサンスのインターン生として、アジアやアフリカの国際協力現場を経験させていただきました。
そして、様々なご縁とタイミングのおかげで新卒で同団体へ就職し、カンボジアに滞在しながら海外事業に携わっています。これまでにいくつか記事を書いていますが、「今、お前は何をやっているんだ?」という疑問が、皆様の頭の中にあることでしょう。
カンボジア事業
現在、テラ・ルネッサンスではカンボジアで大きく3つのプロジェクトを実施しています。
①地雷撤去支援プロジェクト
②地雷埋設地域村落開発支援プロジェクト
③地雷被害者を含む障がい者家族の生計向上支援プロジェクト
カンボジアに限らず、それぞれのプロジェクト毎に目標を持って展開しているのですが、最終的なゴールは団体のヴィジョンである「すべての生命が安心して生活できる社会(=世界平和)の実現」です。
事業地のひとつであるロカブッス村の子ども達 photo by Yuki Nobuoka
これから2回に渡って、上記3つのプロジェクトのうち私が最もコミットしている「地雷被害者家族の生計向上支援」をご紹介します。本事業は、JICA(独立行政法人 国際協力機構)による草の根技術協力事業(パートナー型)というスキームで、2017年4月にプロジェクトを開始しました。将来、国際協力を仕事にしたい大学生や社会人の方に、ぜひお読みいただきたいです。
目的
JICAに提出している正式名称は「カンボジア地雷埋設地域の脆弱な障害者家族への生計向上支援事業」です。このプロジェクトの目標は、カンボジア王国バッタンバン州カムリエン郡の障害者とその家族の生計向上です。
この事業によって得られた成果が、中長期的にはバッタンバン州全体の障害者とその家族の生計向上に寄与すると考えています。そのために、今回の事業ではテラ・ルネッサンスがもともと活動をしていたカムリエン郡に居住する、地雷被害者を含む障害者100家族の支援を行います。
私たちの最終的な目的は、「テラ・ルネッサンスが必要とされなくなる社会」です。その実現のためには、私たちだけでプロジェクトを運営していては意味がありません。以前の記事に書いた通り、私たちはあくまでも「外部者」であり、現地を1番よく知っているのは現地の人です。そのため、本事業実施にはカウンターパートという存在が必要不可欠となります。そして、今回のプロジェクトでは、バッタンバン州農林水産局と、環境を守るための自然農業を主とした活動をしている現地NGO CRDNASE(Community Rural Development of Natural Agriculture for Supporting Environment)をカウンターパートに、協働で事業を実施してきます。
将来的には、テラ・ルネッサンスがいなくなっても、彼ら彼女らが今回の事業を継続、改善していけるようにしていかなくてはなりません。
地雷被害者が使用する義足 photo by Yuki Nobuoka
※カウンターパートとは・・・
国際協力事業を行う際に、現地の実施期間、技術の受け入れ先、政策アドバイスの対象となる人や機関
そもそも、なぜカンボジアか?
1960年代後半のベトナム戦争に巻き込まれて以来、約30年以上に渡る戦闘状態が続いたカンボジアでは、「悪魔の兵器」と呼ばれる地雷が数多く使用されました。その数は、推定400万~600万個に及ぶとされ、埋設密度は世界一と言われています。
特に、大虐殺を行ったポル・ポト政権終結の1979年以降、ポル・ポト派、政府軍(ベトナム軍とヘン・サムリン政権の連合軍)、そしてシハヌーク派、ソン・サン派の4派による内戦が勃発し各派が大量の地雷を使いました。
また、ベトナム戦争中、北ベトナムへの重要な補給路であったホーチミン・ルートは、ラオスからカンボジア東部のジャングルを通っていたため、カンボジア国内も米軍による爆撃の対象となりました。
地雷だけでなく、当時、米軍が使用したクラスター爆弾は不発率30%以上と言われ、未だに不発弾として地下に残っています。さらに歴史を遡ると、第2次世界大戦中にインドシナ進駐をした旧日本軍が使用した爆弾の不発弾が、カンボジア国内でも見つかっているのです。
カンボジア地雷対策・被害者支援機関(C.M.A.A:Cambodian Mine Action and Victim Assistance Authority)の報告書によると、1979年~2016年の間、地雷や爆発性戦争残存物による被害者は、報告されているだけで合計64,662名に上り、その約20%は女性と子どもです。性別や年齢を問わず、 地面に埋設された爆発物による死や負傷の恐怖と、人々は常に隣合わせの生活を強いられているのです。
紛争による負の遺産を抱え続けている農村部に比べて、都市部の発展には目を見張るものがあります。主に中国資本で「先進国」さながらの高層ビルや大型スーパーマーケットなどが次々と建設されている一方で、地雷埋設地域をはじめとする農村部はその経済発展に取り残されている現状があるのです。
首都プノンペンに建つイオンモール photo by Yuki Nobuoka
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次回はもう少し踏み込んで、事業を紹介します。
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