こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。
前回の記事で、「言魂」信仰というひとつの考えを提示しました。人の言葉には、その人がそれまでに触れたことのあるすべての「魂」が込められているというものです。そして、人の心を動かす言葉というものは、受け手が共感を覚えるに値する「魂」が込められているのだと考えます。つまり、「言葉」に力を持たせる、「言葉」で人の心を動かすということは、人生経験を積むこと、「魂」を磨くことに他ならないのです。
では、どのように「言葉」を、「魂」を育てていくのか。
その方法は大きく2つあります。
他者との対話
ひとつは、他者との対話による「魂」の蓄積です。料理をするにしても、まずは材料を揃える必要があるのと同様に、「言葉」を磨く前にはまず、その素材を集めなければなりません。このプロセスを1人で完結しても良いのは良いかもしれませんが、それだと「あなただけの言葉」になりかねません。
ここで言う「あなただけの言葉」は、あなたのオリジナルな言葉というポジティヴな意味を有するものではなく、「あなた以外の人に共感されない」という、どちらかと言うとネガティヴな意味を付与されたものを指します。今日日、1人だけでは到底生きていくことができず、他者との関係性の中で生きているこの社会において、「あなただけの言葉」を創出すること自体、困難かもしれませんが。
あなた以外の人類はみな、それぞれ異なる質・量の経験を保持しています。逆に、あなたはあなた以外の人と全く同じ人生経験をすることは不可能です。そのため、自分の外の世界に無数に存在する言葉や、その裏にある経験、魂に触れるには、やはり他者と対話をすることが最も簡潔な方法なのです。
個人的には、自身の言葉に幅を持たせたい場合は、ビジネスや自分とは全く異なる分野で活躍されている人や、全く異なるバックグラウンドを持つ人と積極的に対話をする機会を持ちます。逆に、深さを持たせたい場合には、似たようなフィールドで活躍をされている人、私の場合だと国際協力の分野で活躍をされている方々と、とにかく対話をする時間を持ちます。そうすることで、自分にはこれまでなかった視点を得ることができたり、これまで持っていた考えをより深化させることができたりする「素材」を収集することができます。
自身との対話
もうひとつは、自身との対話による「魂」の研磨です。せっかく、にんじんやじゃがいもを集めてきても、手を加えなければそれらは雑然と台所に広げられた状態であり、決してカレーはできません。大事なことは、他者との対話によって蓄積された「魂」を咀嚼し、内なる自分と徹底的に対話を重ねることで「自分の言葉にする」ことです。
よく、物事を「自分の言葉で説明できない」「自分の言葉で表現できない」といった悩みを抱えている人に出会います。ここで言う「自分の言葉」って何でしょう。私は、自分の「魂」が込もっていない言葉だと考えます。つまり、人から聞いた言葉を自分の頭で咀嚼せずにそのまま使用している言葉は、「自分の言葉」ではないのです。なぜなら、そこには他者の「魂」しか乗せられていないからです。
何よりも重要なのは、自分のフィルターをきちんと通した上で言葉を発することです。この、自分のフィルターを通すという行為を、私は「自身との対話」だと認識しています。もう本当に、徹底的に内側にいる自分とお話ししてみてください。その結果としての表現=「言葉」が、他者と類似するのは、あなたの「魂」が込められているのなら全く問題ないと思っています。
このプロセスにおいては、お忙しい日々を過ごされている方がたくさんいらっしゃると思いますが、意識的に自身と対話をする時間をとってみてください。それから、内なる自分を1人ではなく、2、3人用意しておくとより活発に対話ができ、楽しい時間を過ごせるかと思います。
バランスよく
「魂」を育てる方法を述べてきましたが、大事なことはこれらをバランスよく、同時に行うことです。同時にというのは、誰かの魂に触れた日の夜には、必ず自身と対話をする時間を持つ、それがひと段落したらまた他者との対話をする、といった具合にうまく回してみてください。
私はもともと後者の方が好きで、1人でよく考えることがありました。将来のこと、人生のこと、世界のこと。。それを友人に話したことがきっかけで前者の重要性に気づいたのです。
今では一部の友人から「人たらし」と言われるほど、人とお話しするのが大好きです。それは、その人の「言葉」「魂」に触れることができるからです。そして、自分の「言葉」をぶつけることができるからです。
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次回以降、しばらくは大学休学中のウガンダでのインターン経験やその経緯について、書いていきたいと思います。これからカンボジアで働くわけですがその前に、結果として私の「魂」を育ててくれたこの経験をまとめていきます。