新卒NGO職員がゆく。

カンボジア駐在の新米"国際協力師"による、国際協力やキャリア等に関する一考察。

ミツバチの奥深さ-養蜂技術研修のまとめその2


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こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

 

先週末に、事業地であるカンボジアからお隣の国、タイにプロジェクトメンバーと研修に行ってきました。

前回の記事では、養蜂という産業は2種類あること、それからハリナシミツバチという生物について少しまとめました。

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今回はもう少し、ハリナシミツバチという生き物について掘り下げてみたいと思います。そして、その養蜂が国際協力、ひいては世界平和にどのようにつながるのかを書いて生きます。

日本では生息不可能?

皆さん、ハリナシミツバチという生物をご存知でしたか?

甘党の私は、蜂蜜ももちろん好きですが(コーヒーに入れると最高に美味しい時がありますよね)蜂蜜というと、いわゆる「ミツバチ」のもの以外にあるなんて想像もしておらず、認定NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業でその名を聞くまで、ハリナシミツバチについて全く知りませんでした。

それもそのはずで、ハリナシミツバチは日本にいないのです。熱帯、亜熱帯地域を主な生息地として分布しているハリナシミツバチは、平均気温が10℃を下回る日が2日以上続くと、コロニー(巣)が潰れてしまいます。つまり、日本の冬を越すことはできないのです。

花にとまるハリナシミツバチ photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス

(花にとまるハリナシミツバチ photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

寒さに弱いのは他のハチにも当てはまります。日本でも養蜂が行われているミツバチ類も決して寒さに強いとは言えません。しかし、彼ら彼女らは体温恒常性という性質を持っており、自らの羽を擦り合わせることで発熱し常に巣内の温度を30℃ほどに保っているのです。

しかし、その習性を持たないハリナシミツバチは、もしも日本で寒さに遭ったらただじっとして、コロニーが壊れていくのを待つしかないのです。

高い抗菌性を誇るプロポリス

健康食品としても人気のあるミツバチ関連の製品。ローヤルゼリーやプロポリスなんて言葉を目にしたこと、耳にしたことがあるかと思います。

実はこのプロポリスがとんでもなく凄いやつなんです。

プロポリスを集めて活用しているのは、セイヨウミツバチとハリナシミツバチ類のみです。プロポリスとは、簡単に言うと「植物の分泌液と、働き蜂の唾液との混合物」です。働き蜂は自然界の様々な植物の樹皮や蜜、花粉などを集めてきます。その過程において生成される、腹部にある分泌腺から出る蜜蝋との混合物を指すのです。

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(巣の入り口に集まるハリナシミツバチ photo by Yuki Nobuoka)

プロポリスの成分は主にそのもととなる植物の樹脂や樹液に依拠し、植物の持つ抗菌性や抗ウイルス性などを引き継いでいると言えます。その性質をハチたちは自らの巣作りに生かし、細菌や疫病、その原因となる微生物から身を護っているのです。

セイヨウミツバチは巣を樹木の空洞内などに作ります。その時に生じる、樹木と巣の隙間を埋めるためにプロポリスを活用し、その量は決して多いとは言えません。

一方、ハリナシミツバチは巣自体をプロポリスで作ってしまうのです。そのため、ウイルスによる感染症などの攻撃を受けるセイヨウミツバチに比べて、ハリナシミツバチはそのような病気に感染したという報告はこれまで見られず、進化の過程の中で針を退化させ、ほとんど完全な自己防衛方法を習得していると言えます。

さらに、ハリナシミツバチの巣内部「蜜ポット」と呼ばれる蜂蜜を貯めておく部分も、プロポリスでできているのです。抗菌性の高いプロポリスの成分が蜜に溶け出すために、ハリナシミツバチの蜂蜜にも多様な成分が含まれています。ちなみに、蜜を絞った後の蜜ポットはそれ自体でも高価で売れたり、それをお酒に漬けておくと体内環境を整える飲み薬として使用可能だそうです。

蜜を絞る前の「蜜ポット」 photo by Yuki Nobuoka

(蜜を絞る前の「蜜ポット」 photo by Yuki Nobuoka)

蜂蜜は甘味料として利用されるのはもちろんですが、医療目的としても活用されてきました。特に、ハリナシミツバチの蜂蜜に関しては後者の活用が広くなされており、比較的研究の進んでいるマヤ族では、年に1回採取されるハリナシミツバチの蜂蜜は、傷口や皮膚病に対する塗り薬として、あるいは目薬として使用されています。蜂蜜を目薬として目にさすのって、結構勇気がいりそうですが。

ミツバチ類の養蜂を行うなら、やはり感染症などのリスクがあるために、一般的な農業と同様に消毒剤や殺菌剤の散布が必要です。人工的な「薬」の使用は、作り出される蜂蜜や、その他の生物に少なからず影響を及ぼすでしょう。

しかし、巣自体が高い抗菌作用を持つプロポリスでできたハリナシミツバチの養蜂は、その必要がありません。つまり、100〜300mと言われるハリナシミツバチの行動範囲内に化学物質を使用した植物を置かなければ、100%自然から作られた蜂蜜が出来上がるのです。

プロポリスに関しては、研究が盛んになっている分野でもありますので、皆さんでも色々と調べてみてください。

自然の営みの中で生きる

これがハリナシミツバチはじめ、養蜂をする1番大事なことだと思います。

蜂蜜を作るためには蜜源となる植物が周りにないといけません。働き蜂は飛び回り、植物から様々な物質を集めると同時に、「授粉者(pollinator)」としての役割を担い、花粉を運んで花の交配を助けます。そして、彼ら彼女らが作った蜂蜜の恩恵を、私たち人間が享受しています。

しかし、そのような自然界のプロセスを頭の中からすっ飛ばして、一部の人間はとても勝手な行動をしています。ひとつ、個人的に残念なニュースがありました。

世界的に減少しているハチの代わりに、小型ドローンを使用して農作物の授粉をしようというものです。

 

「いや、目指すのはそっちじゃないでしょう」と思ってしまいます。

ミツバチ減少の理由は完全に解明されている訳ではありませんが有力な説として、農作物に使用されている農薬・殺虫剤(特にネオニコチノイド系が有害だと言われています)や、蜜源の中に存在する遺伝子組換えのトウモロコシなどが挙げられています。

ハチが少なくなっているのなら、戻ってこられるような環境を取り戻しましょうよ。

もちろん、それには途方もなく長い時間がかかることでしょう。多額の資金が必要となるでしょう。

しかし、本当に持続可能な世の中にしていきたいのなら、もう目先にある人間の利益だけを考えた行動選択をやめましょうよ。

小さなことではありますが、ハリナシミツバチの養蜂を行うということも、「世界平和」の実現に繋がっているのだと、私は考えます。

なぜなら、テラ・ルネッサンスが目指している「世界平和」は「すべての生命が安心して生活できる社会」であるからです。

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最後に、尊敬している認定NPO法人テラ・ルネッサンスの職員から教えてもらったこのスピーチを紹介して終えます。

1992年6月にブラジル リオ・デジャネイロで開かれた「地球環境サミット」にて、当時12歳だったカナダ人のセヴァン・スズキさんのスピーチです。

 

「どうやって直すのか分からないものを壊しつづけるのはもうやめてください」

 

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自然から学ぶことは本当にたくさんあります。

今回の研修での学びを、実際のプロジェクトに落とし込んで活動を展開していくので、また様子をご報告していきます。

 

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